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舞は車に轢かれて亡くなった。信号のない横断歩道を渡ろうとして。舞が亡くなってからその道路の近くを通ろうと思えなかった。舞の顔を思い出すことが辛かったから。思えば舞は2年と3ヶ月しか生きれなかったが、笑顔の多い子供だった。だから思い出す舞の顔はいつも笑顔だ。だからこそ辛かった。もうこの笑顔は見れないのだという再確認にしかならなかったから。
半年経ってやっと舞の笑顔を穏やかな気持ちで思いだせるようになっていた。それでも舞を失った悲しみは決して無くなっていなかった。
舞が死んで一年と十日がたった日。春の日の暖かさが私の手をとり連れて来たのだろうか、考え事をしながら歩いていて気づくとその道路に向かっていた。ああ、どうしてこっちに来たんだろうと思ったが、右回れして違う道にゆこうという気に不思議とならなかったのはなんでだったんだろう。今でもわからない。
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