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ガラス張りの向こう側を楽しそうなカップルが歩いていく。一組、二組……。
カップルじゃなくたって、家族連れだって笑顔だし、女の子同士のグループは体を大きく揺らして笑いながら通り過ぎていった。
それなのに。
ガラスを隔ててこっち側は、重苦しい空気。
ケンちゃんは頬杖を突いて外を見つめているし、私だって不機嫌に日曜日の楽しそうな通行人たちを眺めていた。
「ケンちゃん」
私たちは幼なじみで、高校生の頃付き合うようになった。そして大学も三年生になった今、最大の危機を迎えている。
「言い訳とかしなくていいの?」
私は不機嫌にケンちゃんに問う。
ケンちゃんの代わりにケンちゃんが頼んだレモンスカッシュの氷がカラっと音を上げる。
「だって、俺別れる気ないし」
ケンちゃんは相変わらず外を見つめたまま、そう答えた。
付き合う前は顔を隠すような髪型をしていたけれど、今はひどくさっぱりとしたツーブロック。髪は元々茶色に近いので地毛のままのブラウン。ピアスは今は一つだけ。小さなダイヤのピアス。私からのクリスマスプレゼント。
「浮気した人が別れる気がないとか言い張るのおかしくない?」
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