軌跡なしの奇跡

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「想いを知ってから、気になってしまうことってあるのね」 「…っ」 「大学でも、何人かに告白されて、そのうちの何人かとお付き合いした。でもダメなの。何かが足りないというか、これでいいのか?って自問自答しちゃって」 「俺は…ようやく君を忘れる覚悟ができ始めていた所だった。なのに…」 「とんでもないタイミングで、会っちゃったんだね…」 「俺は…もし運命の人ってのがいるとして、その人は、たとえどこに行っても、必ず自分のもとに帰ってくると思っているんだ」 「つまり、私が…?」 「…偶然、にしては出来すぎてると思うんだ。しかも、お互いに求め合ってたなんて…」 「これから、どうするの?」 「まずは…彼女か」 一番重くなったところで、メインが来た。 そういえば、カノジョは食べることが大好きだったな。 部活帰りに、何か食べているカノジョを見て、少し発情するほどだった。 まるで彼女のような顔をしてご飯を食べる。 手に入れたい。 このかわいらしい君を、自分のものにしたい。 「…なんだか、不思議だなぁ。高校時代、ごはんにすら行ってくれなかったのに」 「…なんであの時断ったんだろう」 「ずっと落ち込んでたんだよ」 「なんというか、あの時は仲間って意識が強かったんだよなぁ。」 「悔しかった」 「今になってみれば…あの時OKしていれば…」 「あの時フッてなけりゃ、こうも想わなかったんじゃない?」 「皮肉なものだね」 「君と出会ったのが、彼女のケガってのも皮肉だ」 「確かにね」 「なんだろうなぁ。ずっと会いたい、会いたいとだけ、それだけを思っていた。でもいざ会うと、かわいいと思うんだ…」 「やめてよ…そんなこと言われたら、もう離れられなくなりそう…」 「それをむしろ望んでる」 会計を済ませ、再び車に乗る。 「家まで送る」 「…ありがとう」 病院に戻り、彼女のもとへ足を運ぶ。 「なぁ、君はどう思う?」 告白は、君からだった。 君は、俺がカノジョを想っていることも知っているよね。 でも、君を大切に思う。 かけがえのない人だと思っている。 同じ車に乗って、同じバイト先で。 でもどうして君を、運命の人とまで思えないのだろう…。 やっぱり…カノジョと進みたい。 だから、君には、俺の記憶だけなくなってほしいんだ…。
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