ごめんね、ばあちゃん

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 思い当たることはあった。  一月ほど前、ばあちゃんの七回忌だった。  俺は仕事が忙しいのを言い訳に参加しなかった。  確かに仕事は忙しかったけど、行けないことはなかった。  俺はその日家で寝ていて、ネット配信のドラマを観たりしていた。  ばあちゃんのことはチラッとも思い出さなかった。  生きてた頃、ばあちゃんはいつも優しかった。よく小遣いをくれて、おねだりをすれば大抵のものは買ってくれた。  なのに、三回忌の時以来、墓参りをしたこともなかったし、思い出すことだってほとんどなかった。  でも、だからって、だからって、大事な日にこんな仕打ちをしなくたっていいだろ!  ばあちゃんは相変わらず鬼のような形相で俺の身体にしがみついている。  俺の目から自然に涙が溢れた。
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