ごめんね、ばあちゃん

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 あれは小学六年生の頃だった。  俺は学校で軽いいじめを受けていて、家を出たものの、その日どうしても学校に行きたくなくてサボった。  学校をサボったのなんて初めてのことで、俺は自分が社会のレールから外れてしまった気がして公園で一人途方に暮れていた。  何となく突っ込んだズボンのポケットには十円玉が入っていて、通学路にある公衆電話でばあちゃんの家に電話をかけた。何か辛いことがあったら電話しろ、とばあちゃんちの電話番号は空で覚えさせられていた。語呂のいい番号だったのでちゃんと覚えていた。  三コール目くらいでばあちゃんは出た。耳が少し遠いばあちゃんにしては随分と早い。  ばあちゃんは、朝から電話が鳴りそうな予感がするといって、受話器からあまり離れないようにしていたのだという。  ばあちゃんには霊感のようなものがあり、よくそういったことを言うことがあった。  ばあちゃんのそういう所をうさんくさく感じていたが、その時以降完全に信じた。  ばあちゃんは今俺がどこにいるのか聞くと、すぐに迎えにいくといって電話を切った。
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