ごめんね、ばあちゃん

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 心のどこかで目覚まし時計には期待していた。  あの不愉快な音を聞いたら身体も驚いて金縛りがとけるのではないか。  だが、答えは否だった。  目覚まし時計が鳴り響く中、俺は相変わらず全く身体を動かすことができなかった。  クソ!   心の中で叫び声をあげるが、実際には声を出すことができない。呼吸する以外は口も動かせなかった。  ちょっとこれはおかしいんじゃないか、と俺は思い始めていた。  金縛りってこんなに長く続くものなのか。  もしかして何かの病気なのか。心臓の病とか?  俺はもしかしてこのまま死んでしまうのか?  そのとき、目の前に人の顔のようなものが見えた気がして、心臓がびくん、と飛び跳ねた。
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