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そう、いつもは、混雑する週末の都会を避けるようにして帰る。
悠介のアパートの近所のスーパーで買い物をして帰って、2人でご飯を作って食べて。
そのまま泊まって、週末を終える。
それなのに、今日は、外食しようってさっききたメールに書いてあった。
店に着くと、可愛らしい店員さんに案内され通される。
レジ横から外まで列が成されている、その横を案内されていくのはなんとも言えない贅沢感。
通された席に、向かい合って座る。
なかなか視線が合わない。
「今日どうしたの? なんか、変だよ。 疲れてる? 忙しい?」
「うん、それなりに」
軽く相槌を打って、悠介がスイッチを押し店員さんを呼ぶ。
いつものパスタとピザ? と聞かれ頷く。
昔からこうだ。
気が強くて意地っ張りな私を、優しく引っ張ってくれる。
たいして美人でもなければ、背も低い。
そんな私のことを好きだと言った。
コンプレックスだった太くて硬い髪の毛も、サラサラして可愛いよ。
とか言って笑ってくれる、穏やかな男。
女々しいよって怒られるくらい、働き始めてからも毎日毎日連絡をくれた。
『美波は可愛くてモテるから心配』
なんて、笑って。
バカじゃない? モテないよ。
って、笑ったけど本当は嬉しかったの。
ちゃんと言えてないなぁ。
でも。
やがて、毎日の電話は数日に一度になり。
更に過ぎればメールのやり取りだけになり。
最近では、私から連絡を入れる事が多くなってた。
でも、それは。
それでも繋がってるって、都合良く解釈してるんだけど。
もしかしたら、違ったのかな。
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