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他愛もない最近のお互いの話をして、食べて、笑って。
デザートを食べ終えようって時に、悠介が窓の外の通行人を眺めながら言った。
「美波、ごめん。 俺好きな人ができた」
「……え?」
聞き返した私の顔を、視線を戻した悠介が見つめる。
――ああ、やっぱ。
ごめんって、そんな顔だったのか。今日の表情は。
妙に納得してしまう。
「別れて、ほしいんだ」
「……だから、わざわざ予約までしてくれたんだ?」
「ごめん」
大好きなチーズケーキ、最後の一口を押し込んでカチャン、とフォークを置いた。
「うん、わかった。 ……同じ会社の人?」
味なんて、わかんない。
「……うん、そうだよ」
そっか、と頷いて。
沈黙がなんか苦しい。
「帰ろっか」
立ち上がり会計札を持った私を悠介が制す。
だけど。
「彼氏以外に奢ってもらいたくないんだよね」
悠介は酷く悲しい顔をした。
なんでよ、フったのはそっちじゃん。
なんなの。
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