好きだ

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唐突な俺の言葉に、不思議そうな表情を見せる。 風になびく長い髪を手で押さえながらこっちを見てくる石川を横目に、切り出す。 「お前がさ、男と別れたって俺とバッタリ会った日な」 「……ああ、間宮香織と高瀬さんのデートの日だった」 「…………まあ、それは、今は置いといてくれ」 まずいだろ、マジで、こいつの中で俺、どんな男だよ。 不自然に話を逸らして、隣では呆れたような笑い声。 「なかなか、泣き出さなかったろ」 「そ、それは、だって一応職場の人の前でだし」 ふいっと、顔を逸らした。 つよがりな横顔。 そういう顔してる時、マジで抱きしめたくてたまらなくなる。 いつもいつも、何度も思ってきた。 「俺だったら、いつでも泣かせてやりてぇし」 「え?」 「男の前で素直になれなかったっていうんなら」 「あの」 「力ずくでも、素直にさせてやるよって思ったんだよ」
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