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例えば、古い記憶を辿ってみると。
中学の頃だ。
彼女ができた。 好きだったのかと言われると、まあ好きだったんじゃねぇの? って、それくらいの想い出。
ただ、好きだと言われて、応える。
その後は、何度相手が変わっても。
ただ、同じことの繰り返し。
気持ちに応えるか。
もしくは、言わなきゃならねぇ流れに女が持ってきたなら『付き合う?』と、とりあえず言う。
断られたことは、なかった。 そりゃそうだ。
思い返せば俺に気のある奴にしか言ってこなかったんだ。 気があるからこそ寄ってきてるわけで。
流れに任せて、なんて。
そんな余裕が持てない相手が初めて現れて。
『言わずにはいられなくなる瞬間』
を、知った。
仲間内で、惚れたなんだと盛り上がってた奴らを。
どこか冷めた目で見てたあの時の余裕ぶった自分が滑稽だ。
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