叶った恋の先

4/12

7692人が本棚に入れています
本棚に追加
/337ページ
「に、にやけてなんて、な、ないと思うんですけど!」 「なんだそりゃ。 威勢いいわりに自信ねぇ言い方だな」 「だ、だってそりゃ……んっ!?」 言い返す私の唇に、重なった高瀬さんの唇。 それは一瞬で離れて、私の耳元に手をついて見下ろしてくる彼の顔が近くに見える。 「よくわかんねぇもんだな」 「は、はい?」 熱のこもった瞳で見下ろされて、よくわからないのはこっちなんだけど、と思いながら聞き返す。 「いや、今更こうなるなんてなぁーって感慨深くなってた」 「さっきから主語がありませんけど」 「好きな女とは、何回やっても足りねーんだなって実感してる」 その言葉を聞き終わると同時に、もう一度キス。 今度は、深く、長いキスがまた私の身体を熱くしていく。 その熱が伝わってしまったかのように、触れる高瀬さんの肌も熱くなり。 なにか、なんというか。 太もものあたりに押しつけられる感触を感じてしまったり……。 「ちょ、ちょっと、なんで」 「いや、わかんねーけどキスしたら、なんかヤバい」 「ね、寝起き……!」 「そうだな、朝でもヤル気になるもんなんだな」 シレッと人ごとのように言う高瀬さんの手が、鎖骨のあたりを撫でて。 徐々にその手を下へと這わせて、また頭の中を真っ白にされて。 刻み込まれるように熱を受け――私たちがベッドを出たのは陽も登りきったお昼を過ぎた頃だった。
/337ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7692人が本棚に入れています
本棚に追加