社内恋愛はじまりました

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私と高瀬さんの声が重なった。 ニコニコと読めない笑顔が更に深まる。 「高瀬の予定も、俺と同じようなものだから」 「え? あ、そうなんですか? 私は別に何もないので大丈夫です、けど……」 「高瀬、お前も逃げるなよ。 多分逃げた方が後々面倒になるよ」 「……あー、なるほどな。 はいはい。 わかった」 「え? 何が?」 2人の間で何やらアイコンタクトが行われている。 高瀬さんと奥田さんも交互に見るも、さっぱりわからない。 私は蚊帳の外状態じゃないか。 ニコニコ笑って手を振りながら去った奥田さんが、すぐに荷物をまとめて外出していく。 その背中を眺めつつ私は高瀬さんに聞いた。 「え? なんの話です?」 「……多分うちの課長が言い出してんだろ」 「え? 課長?」 意味がわからず小声で聞き返す私を見て、小さく息を吐きながら答える。 「俺や奥田が飲みに連れ回されんのはいつものことだけど、それにお前を連れて来いって言ってんだろ」 「いやだから、どうしてです?」 「奥田と一緒で朝いち、なんか耳に入れたんじゃねーの?」 「え!? まさか、待って下さい、ちょっと今広まるのかなりだいぶめちゃくちゃヤバそうな」 私が焦って言うと。 「なんでだよ」と、かなり不機嫌な声を出した高瀬さん。言葉を返す前に斜め前のデスクから、田代さんから少し怖い声で「無駄話してないで仕事進めなさい」と、いつの間にやら溜まっていた注文書のFAXを束で渡されてしまう。
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