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「何が?」
「こっちも、話しやすい」
「ふーん」
「……つきあうことに、なったよ」
なるべく落ち着いた声で伝える。
間宮香織も、落ち着いた声で「知ってるし」と答えた。
「え? てゆうか、何で知ってんの? そうゆうことになったの、この週末……」
「朝からみんなうるさいじゃん。 あんな噂、誰だかすぐわかるでしょ、あたしは! 俊平くんに言われてたんだから。 あんたのことが好きだってさ」
「あー、そうだよね、そっか……」
そのまま黙って私もサラダを食べる。
私だってそりゃ、これまでに想いが叶わなかったことくらいある。
だから、どんな言葉が正解かわからない。
「てゆーか、謝ったり気まずそうにしたり調子乗ってんなよ~! 石、川、さんっ」
「え?」
フォークを私にビシッと向けながら美人な顔は私を捉えた。
「邪魔くらいするし、あたし派遣期間延びたし~!」
「え、マジで! いつまでいるの!?」
ちょっと焦った私は身を乗り出す。
それを見て、嬉しそうに笑う間宮香織。
余裕ぶって間宮香織にかける言葉探してる場合じゃなかったみたいだ。
言われた通り、調子乗ってた。
「とりあえず3ヶ月。 それだけあれば、俊平くん誘惑し放題だしね~」
「……ぐっ!!」
思わず、パン! と膨れ上がる間宮香織の制服の胸元をガン見した。
巨乳好きなんでしょ、高瀬さん……。 あの人もともとが女好きっぽいし、ちょっと不安。
なんて言ったら怒られそうだけど。 高瀬さんに。
「せいぜい頑張れよ、高瀬さんの、彼女、さーん」
からかうように笑った間宮香織が、メインの煮込みハンバーグを口に運ぶ。
ヤバい!
どうやら、マジでまだまた油断できそうにない。 しかしお腹は減るもので。
ぐぅ、とメインの煮込みハンバーグを求めて私のお腹は悲鳴をあげたから。とりあえず食べる。
チラッと見た腕時計が12:40を指していた。
話しすぎた。
昼休み、あと20分しかいないじゃんか!
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