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「あーー! 石川ちゃん、おかえり!! も〜! どこ行ってたの」
間宮香織に圧倒されながら帰ると、更衣室には吉川さんがいた。
どうしよう、凄くホッとする。
「わーー! 吉川さん〜!! 今日はこっちですか!?」
駆け寄ると、ニコッと爽やかな笑顔。
「予定ちょっと早まってね、今日で研修終わったんだよね〜! あとはシステム開発部からの指示にこっちで従うだけ」
「ほんとですか!? やった! 昼休み寂しすぎたんですけど」
「も〜、マジで? 石川ちゃん相変わらず好きー!」
久々にキャッキャと昼休みに戯れてると、後ろから間宮香織がダルそうな声で。
「高瀬さんの〜、彼女さん〜邪魔ですよ〜〜」
なんて、ややこしくなりそうなことを言う。
思った通り、ポカンとした吉川さんの顔。
「…………へ?」
「ちょ、ちょっと間宮香織! 言わないでよ、一応内緒!」
慌てて口を塞ぐ。
運良く更衣室は人がほとんどいなくて、多分今の間宮香織の声も聞かれてない。
ホッと胸を撫で下ろしたところで、吉川さんに力強く両肩を掴まれる。
「ど、どうゆうこと!? あんた! いつのまに!? 私聞いてない!!」
「よ、吉川さん痛い、マジ痛いです、今日電話かなんかで報告するつもりだったんですってば」
揺さぶられながら答えると、パァっと驚きで占められていた吉川さんの表情が明るくなった。
「ついに? ついにあいつ言ったか! やっとかー、ああもう、焦れったくてしょうがなかった〜!」
騒ぐ私達を横目に間宮香織が、フンっと軽く睨みつけながら更衣室を後にする。
それを見届けてから、私は小声で吉川さんに聞いた。
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