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「おう、俊平遅かったな! 課長さん奥の座敷」
「はいよ」
「お! この間の姉ちゃんもいるのか!」
「大将、こんばんは」
ズカズカと進む高瀬さんを追いかけつつ、大将にペコリと頭を下げた。
ここは、私が悠介と別れた夜に高瀬さんが連れてきてくれた居酒屋『やぐら』。
あれから、そんなに経った訳じゃないのに。私の心にはいろんな変化があったなと、思い返して。
……いると。
パン! パン! パン! と、座敷の戸を開けた瞬間軽い衝撃音。
見おろすと、若干……いやここは正直に。
かなり赤い顔した岩本課長がクラッカーを数個手にして楽しそうに笑ってる。
「よ! めでてぇーなぁ〜! ご両人!」
「…………は?」
私は気の抜けた声を出した高瀬さんの背後で、面倒に違いない酔い方をしてる課長を眺めた。
「お前らもうヤッたか!? いやぁ〜でもまだ子供は作らんでくれよ! 石川の次が誰も育っとらんだろ!」
ガハハ、といつもの調子で……いや、いつもより陽気に笑う課長。
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