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「アホか! 何してんだアンタは! 課長だろ、一応!」
「え、あ、ちょっと高瀬さん」
乱暴に靴を脱ぎ捨て課長の手元から未使用のクラッカーを没収する高瀬さん。
「あはは、派手に喜んでるねぇ、岩本課長」
「え、いや、これは」
「今日はね、高瀬の片想いが実りました祝賀会なんだって」
「いやちょっと待って、なんですかそれ」
特に驚いた様子もなく、奥田さんが淡々と話す。
総務課にいた頃も、こっちに異動してきてからも飲み会くらいあったし、あるのが普通だとは思うけど。
「課長がこうゆうことする? 普通」
「え?」
「って、思ってたでしょ、今」
奥田さん人の心読めたんですか?
と、固まってると。
「心は読めないよ。ただ石川さんはわかりやすい」
「は、はあ……」
いや読めてるから! とは、もちろん声にせず曖昧に返事をした。
「高瀬も、俺から見るとわかりやすい。そして課長は役職つく前からずっと高瀬を可愛がってるからね」
「わ、私の想像以上に……その、仲良しだったみたいで何より……」
まさか会社では話すたびに、どこか身構えてしまう立場である課長が。
その、祝賀会なるものを率先してなさるなんて!
私はどう受ければいいと!?
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