7693人が本棚に入れています
本棚に追加
/337ページ
「単純に嬉しい。高瀬の変化が自分のことのように嬉しいし」
「自分のことのように?」
繰り返した私を見て、奥田さんは小さく頷く。
「ああ、俺もいつか変化をもたらしてくれる人と会えるのかなぁとかね、思うんだよね。2人を見てると」
モテにモテて高瀬さんよりも物腰柔らかで絵に描いたような王子タイプの奥田さん。
まだよくわからないけれど、きっとそんな奥田さんが高瀬さんと当たり前のように仲良くしている裏側には。
見えない2人だけの本音があったりするんだろう。
私が吉川さんと話す時のように。
間宮香織と睨み合ったりする時のように。
しんみり考えてると、今度は少し楽しそうな声。
「そうそう、それよりね。 あいつ多分今すぐにでも石川さんが彼女なんだって会社にも誰にでも、言ってしまいたいんだろうと思うよ」
「えっと……」
「凄いはしゃぎようだよね。困るのは石川さんなのにね、俺も注意しとくからね」
そう言って私に笑顔を向ける奥田さんは、いつものよくわからない奥田さんではなくて。
友達を想う、優しい笑顔をしてた。
最初のコメントを投稿しよう!