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「何話してんだよ」
ぐっと背後からお腹のあたりに腕を回されて引き寄せられる。またか、って奥田さんが言った。
「……また明日ねって、話してただけだよ」
「長いだろ」
「まったく、お前は。彼女になった途端これだからなぁ」
「あ?」
「いえいえ、何にも。……課長は?」
「今タクシーに乗せた、酔い過ぎだろ……って、おい間宮!」
高瀬さんが突然大きな声を出すので振り返ると間宮香織が高瀬さんの腕に抱きついてる。
しまった、奥田さんと話し込んで忘れてたけど。多分間宮香織、高瀬さんが課長をタクシーに押し込んでる間中ひっついてたんじゃない!?
「俊平くん〜、あたし諦めてなんかないんだからねぇ!」
「ちょ、ちょっと間宮さん!離れてよ!」
「はあ?何よ、あんたいきなり彼女ヅラかよ!」
引き剥がそうとしても離れない。ここで怪力発揮せんでも!! 睨み合ってると。
「彼女面じゃなくて、彼女だからね石川さんは」
そう言って奥田さんが間宮香織を引き剥がし「後は任せておいて」と言い残して。
恐らくタクシー乗り場の方へと歩き出した。
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