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「俺は、もっとお前の頭の中が俺ばっかりになればいいと思ってんだよ」
「へ!?」
心の中でバカと罵ってたところに、まさかの言葉。
「もっとちょろくなって前の男なんて思い出さないくらいになれ」
「ちょ、ちょろくなりたくはないような」
居酒屋だとか小さなバーが立ち並ぶ細い道。
もちろんたくさん人は行き交って、チラチラと過ぎてく人の視線を感じる。
いつかの私は、高瀬さんと間宮香織のやり取りに苛立ちを覚えたけれど。
今の私たちも、そんな風に見られてたりするんだろうか。
なんて、頭の奥で冷静に考えてるけど実際は心臓ばくばくなんだから。
私もこれからは街中でイチャつく恋人たちに文句言えないなぁ。
こんな、抱き合いながら痴話喧嘩なんて信じられない。
今まで私をこんな風に扱う人もいなかったし、きっとそうさせてこなかったんだろうな。
私自身が。
今になって気付く。
物足りなさを、相手のせいにしてたこと。
きっと私に壁があったんだろうに。
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