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「あ、高瀬さん! 一台ちょうど停まってます、行きま」
行きましょう。は、最後まで言葉にならなかった。
振り返ったら思ったより近くに高瀬さんがいて、私は勢い余って胸の中に頭をぽすっと預けてしまって。
「……ん、んん!?」
身を屈めた高瀬さんが私の頬を包むようにして触れ、上を向かせ唇を重ねた。
軽く舐めるようなキスの後、間髪入れず舌をするりと忍ばせてきて。
「だ、ダメ、ですって」
合間に、押しのけようとするけど、私もきっともう少し触れ合っていたいとか本音では思ってたんだろう。
思うように、力が入らない。
「ちょっとくらい、黙ってろ」
「ひ、人が……っ、ん」
少しずつ角度を変えながら、熱い舌が私の舌に絡まって。
多分わざと唾液が交わる音を、大きく響かせ聞かせてくる。
力を入れて拒否るどころか、力が抜けてしまいそうな身体に負けじと根性を送った。
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