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深いキスの後、やがてゆっくりと唇が離れて。
私は肩で息をする。
きっと短い触れ合いだったけど、でも。
私の決意を鈍らせかけたんだから恐ろしい。
イケメン彼氏のキス、恐ろしい!
「〜〜高瀬さんは外で触ったりキスしたりしすぎですから!しかも、慣れすぎ!」
「はあ?お前以外にしてきてねぇよ、外でなんて」
「いやいやいや、だからそうゆう!ときめかせることをサラッと言わないで下さいってば!」
恥ずかしくてたまらない私は、可愛い返しどころか生意気な言葉しか出てこない。
けれど気にする様子もなく、平然と高瀬さんは楽しそうに笑ってる。
「嫌ならその気にさせんなよ、いちいちツボついてくるから悪いんだ、お前が」
「言い方!」
「睨むなよ、可愛いって言ってやってんだろ」
「え?通訳いります?言ってませんよ?」
離れ難くなるようなキスの後……
とは、微塵にも思えないバカみたいな言い合いの後に声を出して笑い合いながらタクシーに乗り込んだ。
私よりも、ここから家が近い高瀬さんが先に降りて、当たり前のようにお金を渡されて。
あの日と同じように「危ないから家の前まで乗って帰れよ」と、念を押される。
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