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ああ、高瀬さんは彼氏でも、そうじゃなくても高瀬さんなんだなぁ。
とか、呑気に笑ってると。
続いた言葉は、あの日には想像もつかなかった低く熱を帯びた、背筋を這うような声。
「仕方ねーからな。お預けくらっといてやるよ、今日は」
って!
そんな捨て台詞は本気でやめてくださいよ!
こっちだって好きでツンツン断ったわけじゃないのに。
耳元に残るのは、湿った吐息の後。
「……高瀬さんのバカ」
そう返すのが精一杯で。
多分めちゃくちゃ赤くなってる私を覗き込むようにして満足そうに眺めてる、すでに車外の高瀬さん。
見えなくなるまで、ずっとずっと高瀬さんは私の乗るタクシーを眺めてた。
まだまだ甘酸っぱいなぁ。
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