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私の目の前まで駆け寄ってきた高瀬さんの視線が、すぐ隣の秋田さんに向けられる。
「何で秋田さんがいるんすかね、こいつの連れは?」
「怖いなぁ、高瀬くん。偶然俺もこの店にいたんだよ。石川ちゃんのお友達はさっき帰ったよねぇ?」
「え!? あ、はい」
仲が良いのか悪いのかわからないと思ってた2人だけど。
今日はどう見てもめちゃくちゃ空気が悪い。
あの親睦会と言ってた飲み会が、あんなだったせいなのかもしれないけど、でも。
その後の仕事は高瀬さんも秋田さんもいつも通りこなしてたし。
なんの空気の悪さだよ。
「……とりあえず、行くぞ。秋田さん、お先です」
腕を掴まれて、引っ張られる。
その様子を肩をすくめて見てる秋田さんは、やっぱり、からかって遊んでるだけに見えるけど。
よくわからない人だ、相変わらず。
「ちょ、ちょっと高瀬さん引っ張らないで……」
「石川ちゃん」
声を遮るように、よくわからない秋田さんが私を呼んだ。
振り向くと目が合う。
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