一緒にその先を描こう①

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*** 「ちょっと、お母さん!しつこいよ!」 会社のビルを出てすぐに、何件も残る着信履歴の相手――お母さんに電話をかけた。 いつもだったら、暇な時間に抜け出して掛け直したりもするんだけど……。 今日はさすがに、無理だったから。 風が、ひゅっと吹いて思わず身を縮める。 昼間はまだそうでもないけど、日が沈むとさすがに寒い。 『しつこいじゃないよ、あんた全然電話でないから』 私に似て、違うか。 私が似てしまって共に声が大きいお母さん。 キンキンと耳に響く。 「仕事中!でしょ、時間どう考えても!」 『今日の話じゃないよ、週末もかけたんだけどね!』 週末、そういえば何度か着信無視したっけ。 事実なので、とりあえずの謝罪をする。 「ああ、なんかバタバタしてて、ゴメン」 『ふーん、まあいいわよ。それよりね美咲!結婚するって!』 「え、マジで!?」 突如明るくなった、お母さんの声。 私は驚きを返すことしかできない。 ――美咲は、みっつ下の妹で23歳だ。 「は、早いね。最近彼氏変わったばっかとか言ってたのに」 『早いね、じゃないよ。あんたはどうなってんの?悠介くんとそんな話は出てないの? お母さん、いい加減心配になってきたわ』
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