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……帰ろう。
重い足を引きずるように、
歩き出した私を呼び止める、気の抜けるような。
それでいて楽しそうな、声。
「お疲れ〜、石川ちゃん」
ピタリと足を止める。
「……あ、秋田さん」
「会いに来たよ〜」
顔を上げたら、数メートル先に秋田さんの姿。
手を振りながら近付いてくる。
「え?高瀬さんなら今日は直帰ですよ」
私の顔をジッと見た後に、ぶは! っと秋田さんは吹き出した。
「ああ、そうくるのかぁ。違うよ、石川ちゃんに会いに来たんだけど、俺」
「……は?」
首を少し傾けて、ニッと笑う。
横に流してる少し長めの前髪が、一緒にサラリと揺れた。
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