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「あれま、どうしたの高瀬くん。そんな慌てて」
「どうしたって、こっちのセリフなんすけど」
高瀬さんの手が秋田さんとの間を遮るようにして、私の肩を掴む。
その力強さに、不覚にも胸は高なるのだから嫌だな。
「あはは、随分早く2人くっついたんだね。もっと揉めてくれるかと思ってたのに」
高瀬くんとも最近は電話でしか話してなかったもんね、お互い忙しくて。
なんて秋田さんが軽い笑顔を見せてる前で横顔しか見えない高瀬さんの表情は歪む。
「そりゃ、どーも。アンタが楽しめる程は揉めなかったですよ」
「あはは、残念だけどおめでとう。でも石川ちゃんは大変そうだね、色々高瀬くんに話したいこともあるのにね」
楽しそうな秋田さんの声の後、少し黙ってから。
「何の話だ?」
と、高瀬さんが私に視線を合わせた。
そりゃなんの話だと聞かれても。
「たいした話じゃないですよ!そ、それより高瀬さんどうしたんですか?今日は直帰なんじゃ……」
「課長が、お前が忙しそうだから帰ってきてやれって連絡」
「……あ」
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