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聞き返した私にそれは楽しそうで、そしてどこか試すような甘い声。
「俺の携帯の番号なのよ、個人の方ね」
「ん?いりますか、私それ」
「冷たいなぁ、君がいつまでも連絡先教えてくれないから」
どう返そうかと眠い頭をフル回転させてると、吹き出したように彼の笑い声が電話越しに響いた。
『明日休みだしさ、君も色々悩んでるみたいだし深く考えずに、まあ飯でも行こうよって』
「いえ、あの、それは」
『ま、このまま喧嘩続きよりかはおじさんに相談してみてもいんじゃない?』
黙ったままの私に。
いけそうなら電話してきてね、って甘い声で言った秋田さんが、一方的に通話を終えた。
(そんなこと、言われても)
メモした秋田さんの番号を眺めて息を吐いたところで、課長と間宮香織がミーティングルームから出てきた姿を目にしてしまう。
後ろでヒソヒソと別の課の女の子たちが話す声。
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