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もうすぐお昼って時間に、午前中ほぼ全て使ってしまった特殊注文書のコピーを取って。
その足でお茶でも買ってこようかなってフロアを出ると。
「石川さん」って、聞きなれない声に呼び止められる。
振り返ると数人の女の人たちで。
何人かは同じフロアの人。
あとは、違う階にいる経理や人事の人たちかな。
「はい、なんですか」
声をかけられる心当たりがなくて、短く答える。
「高瀬くんの彼女ってあんた?」
「え!?」
まさかの言葉に後ずさるようにして身体が動いた。
「昨日会社の前でアピってたらしいじゃん?」
「え、アピってないですけど」
昨日って、やっぱアレ目立ってたんじゃん。
バレないようにしようって言ってた矢先になんてこと。
「てか、私の推進課の友達さぁ、石川さんに直接聞いたけど違うって言われたって言ってたのに」
「そ、それは、違うから本当のこと言ったんですけど」
「でも昨日の様子だと絶対付き合ってるじゃん!いいよね、ペアってだけで傍にいれるもんね。いくら不釣合いでも」
ドクン、と。
大きく胸の奥が跳ねて、また顔を上げられなくなってしまった。
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