一緒にその先を描こう①

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*** 「さっむ!!」 17時半。 もういつの間にやら冬がやってきてて、この時間でも外は暗くて。 私はゆっくり歩きながら夜空を見上げた。 今日の昼休みは誰とも話したくなくて、テラスでお昼を食べた。 今みたいに寒かった。 当たり前だよ、同じ外だし。 お昼休み明けからは、フロア内でもコソコソ聞こえて。 ちょっとペアの期間長いからってたいした美人でもないくせにとか、まあ他も色々。 ほんと女って集団になると面倒だし。 今の自分にもうんざりだし。 つまりは、全部、全部うんざり。 とてもじゃないけど、きっと高瀬さんが好きになってくれた私じゃない。 彼は必死に踏ん張ってる私しか知らない。 ぼんやり駅の近くまで歩いて、カバンの中からスマホを取り出す。 手帳型のケースにはさんだ黄色い付箋。 秋田さんのプライベート携帯の番号を眺めた。 ああ、逃げたい。
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