一緒にその先を描こう①

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このまま。 受け入れて、抱きしめられて、心地よくなってしまえたら。 (でも、どうして) 響かない。 心は、高瀬さんを前にした時みたいに踊らない。 「だけど好きなんです。ごめんなさい秋田さん、私最低だ」 「……どうして?」 「秋田さんを巻き込まなきゃ、傲慢な自分に、気づけなかった」 傲慢なの?石川ちゃん。って笑われる。 「きっと私、自分以外の全人類の恋する気持ちを侮って見下してるんです……!」 ブハっと盛大に吹き出した秋田さんの気配が、少し離れてく。 「おもしろいなぁ、石川ちゃんは。言ってることがよくわからない」 私には秋田さんがよくわかりません、と。そっと思ったことは口にはしないで。
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