一緒にその先を描こう②

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「み、美咲は23で、私は26で……」 「うん」 「うち実家田舎くさくて、その……結婚早いのが当たり前で。母は22の時には私を産んでて」 「へえ?」 「前の彼氏別れちゃったって伝えたら、お見合いがどうの言い出すし」 「見合い!?」と、高瀬さんがちょっと大きな声を出して車が揺れる。 「い、いや、言ってるだけで別に何も」 慌てて付け加えたら「あー、そっか」って。 そんな様子見て、私は胸につかえてる、何か黒々しくて嫌なものが少し溶かされたような。 そんな暖かなものを感じて。 だからかな。 「美咲……妹は、うちの家族の中じゃ突然変異かってくらい可愛くて」 ポツリと、誰にも言いたくなかった心の奥の黒くて〝嫌なもの〟が零れ落ちる。 「昔からずっとうちの家族は妹中心に動いてて」 「突然変異なぁ」 「あはは、うん。ほんとそんな感じで。私は、そんな空気の中でだんだんと……」 言いかけて、飲み込んでしまった。 こんな話を高瀬さんは聞くのだろうか。そもそも彼の聞きたい話題から遠ざかってやしない? そんな思いとは裏腹に。 「だんだんと、何?続き」 当たり前のように、私の声を待ってくれてる。 ああ、また消えてく。 溶かされてくみたい。 素直になれない、なりたくない。 怖がりの私。 心の中の、目を逸らしたいもの。 「す、素直に希望を口にするのさえ躊躇うようになるくらいには」 「うん」 「妹が、い、いつも真ん中で」 「……そうか」 「悠介の前の、高校時代の彼氏なんかは、妹に取られたりもしました」 「え、マジか」 ちょっとビックリしたような高瀬さんの声。
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