一緒にその先を描こう②

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そりゃそうか、そんな告白されたところで。 確かに私が高瀬さんの立場だったとしても 『マジか』くらいしか言えないと思うし。 「なので、情けないんですけど。 いくら結婚決まってるとはいえ、高瀬さんに会わせたくなかったのと……」 「会わせたくなかったのと?」 「あと、うちになんか来たら母に高瀬さん丸め込まれちゃいますよ」 丸め込まれるって何だよ、って。 高瀬さんの声に少し笑い声が混じった。 「や、あの! 笑い事じゃなくてほんとに! あの人イケメン好きだし、私の結婚本気で心配してるし。 多分、試食会とかドレス相談会とか、模擬ウエディングとか行かされちゃいますよ」 まくし立てるように言った私の声が途切れたところで、ほぼ同時。 車も停車した。 「どっか店でも入ろうかと思ったけど、お前もう飯食ってるよな?」 「え、う……、その、はい」 誰とって、聞かれないのがまた、しんどさ倍増。 「んじゃ、とりあえず話すか。気が散るし 運転しながら話せるもんでもねぇわ、やっぱ」 「す、すみません」 いや、別にいいけど。 と、軽く答えた高瀬さんがシートベルトを外しイスを少し倒した。 そして軽く首をポキポキ言わせながら伸びをして、思い返すように言った。 「あー、なるほどな。 ん、家の方は理解したわ。 んで?」 「え?」 唐突に話が戻ったから、間抜けな声が、つい出てしまった。 「え? じゃないだろが。 なんかあったろ、仕事も」 「え!? あ、もしかして……課長からなんか聞きましたか?」 あまり高瀬さんに知られたい話じゃなかったから、何となく声が小さくなるけど。
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