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「いや、俺はまだ何も。 でも課長が連絡取ってやれってうるせーから」
「え? 課長が?」
「そう言ってるだろが」って高瀬さんはこっちを見ないで背もたれに深く身体を預けて答える。
でも、今更それを無愛想だとか思うわけはないし、聞こうとしている態勢だとわかる。
「う、うっかり、やらかしたんです」
「へー、何を」
チラッと、私の方へ視線だけ動かした。
その姿をなんとなく、横目で見ながら私は情けない声で説明をする。
「その、ボーッとしてて、課長から頼まれた見積もりのメール……社内用の原価入ったもの送りました」
「あー、そりゃダメだろ」
「わ、わかってます……! だから、今も高瀬さんに知られるの嫌で」
私がそう言うと、深くもたれ込んでた身体を起こして「なるほどな、嫌か」と呟いた。
え? と聞き返した私を制して「いや、先に話して」と短く答えて今度は窓にもたれかかる。
そうして私をジッと見た。
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