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「俺さ、マジでお前が好きだから。何か疑うことあっても、いつもそれ思い出せよ」
「は、はい……」
「俺も、嬉しいって言った、今のお前思い出すし、いつも絶対」
頷くと、軽く、抱き寄せられて。
ふわりと、高瀬さんのにおいに包まれる。
ドキドキと心臓はうるさいのに、いつのまにかそこに安心を感じる私になってたみたい。
「あとなぁ、課長。見込みねぇ奴に厳しい言葉は出さない。基本面倒な事嫌いな人だし」
ポンポン、と私の背中を撫でながら言う。
「使えないって自分の中で決めたら、あからさまに見限ってく男だから。あと、どうすれば伸びる人間かを見てる」
「見てる?」
「多分、すぐ後に間宮を褒めたのも、わざと。今頃絶対ワクワクしてるぞ。お前がどう這い上がってくんのか」
え、酷い。と零した私の声の後、高瀬さんの笑い声が続いて。
「だろ?上に立つ人間として、いーのかよアンタ?って俺もよく噛み付いたけど」
「でも仲良しですね」
うるせーよ、と。頬を撫でてたオデコをゴツンと合わせられたというか、ぶつけられて。
「い、痛い!」
そう、非難の声を上げるも高瀬さんは我関せず話を続ける。
「つーか、お前な。ミスはミスだからな。しかもありえねぇ初歩的なミス。それはちゃんと反省しとけよ」
「す、すみません」
優しい声から、今度は仕事中の高瀬さんって感じの、キッパリした声。
自然と私の身体にも力が入る。
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