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「実家行くか」
「は!?」
「要は俺が顔出して、先も考えてつき合ってるって言えば親は黙る訳だろ?」
少し私から離れて、窓にもたれながら、そんなことを言う。
「私の話聞いてましたか!?」
「聞いてたけど」
「美咲の話だけじゃないですよ!?そんな、そんなのうちの親、け、結婚の挨拶みたいにアホな解釈して受け止めてきますよ!マジで!極端なんですから」
高瀬さんのあけた距離をジリジリと詰めて、私は覗き込むようにして、声を張り上げてた。
だって、ほんとに、こんな言葉ありえない。
親にあれこれ言われて結婚急かされるとか、どう考えても嫌じゃん?
「だから聞いてたって。丸め込まれんなら俺は好都合だし大歓迎なんだけど」
「いやいやいや、正気ですか」
「どうぞ丸め込んでくれって、思ってるけど」
その言葉に、行動を制されてしまった私の手首を持つ。高瀬さんの手の、暖かさが私の身体全部を熱くした。
そのまま撫でるように動かされた指は、私の指に絡められ、やがて止まる。
「どこまでなら、いいんだって言ったろ」
「え、あ……はい」
高瀬さんの手が、私の手を握ったまま。
指を、ぺろっと舐めた。
「ひゃ!? な、ななな、なに!?」
「色気ねーな」
「い、色気!?出してる余裕ありますか!」
「ったく、お前なぁ、何も勢いで言ってんじゃないっての」
「は!?」
何がどういう流れなのかと、頭をフル回転させてると。
そんな私を呆れたように見ながら高瀬さんが更に、言葉を続ける。
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