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「受け取る気あるか?予約済みなって、そうゆう意味の指輪」
指輪、と。
聞いて、私は舐められた指の感触を確かめるように触れた。
左手の、薬指。
「え、た、高瀬さん……や、そんな冗談じゃ済まないことサラッと」
「アホか、言うかよ冗談で」
「だ、だって、いきなり」
いきなりじゃねーよ。 と、溜息交じりの呟き。
「それくらい俺はお前に近づいてたいけど、嫌か?」
真剣な瞳が、私を見上げるようにして。
でも時々揺れて。
嫌じゃない。の意味を込めて首を振ることしかできない。
そんな私の腰に触れて撫でるように、ゆっくりと抱き寄せる。
沈むように高瀬さんに被さって、力が抜けてく。
「なあ、帰んの、お前今日」
「大事な話してるはずなのに、急に話題を変えますね……」
(……てか、ちょっと待ってよ、これ)
照れ隠しみたいに、ツン、と言葉を返した私は。
気付く。
こう、なんか、覆いかぶさってる感じだからお腹らへんに。硬さを、感じてしまったから。
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