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「だからあんな、同じビルで働いてるだけって美女たちにまでモテるんですよ、もうやめてくださいよ」
「……どう繋がってんのかさっぱりわかんねーけど、お前以外のことに俺はこんな必死になるつもりねーぞ。気力も体力も足りねぇっての」
言いながら、冷静になり人目がそこそこ気になり出した俺は、石川の腕を掴んで歩き出そうとしたけれど。
「……高瀬さんてば、実は私のこと結構好きだったりしませんか……」
「あ?」
見下ろせば、したり顔……ながらも真っ赤になってる。
「照れるかドヤるかどっちかにしろって」
「どっちもだから」
「……つーか、マジで何なんだお前は!」
我慢ならない……と、手首を掴んだまま多少乱暴に抱き寄せた。
道路沿いの歩道から少し奥に入る。小さなビルが立ち並ぶその隙間、外壁に身体を押し付けて、勢いのままキスをする。
噛み付くように唇をこじ開けて、暖かな口内を弄ぶように舌を動かす。
乱れていく息遣いに、ぞくりと這うような欲が全身を伝う。
「……っは、た、高瀬さ……、何急に……ここ外」
「嫌ならいきなりそんな顔見せんなよ」
「そんな、顔って」
「俺がイキそうになってる時、まだダメですって調子乗ってる時の、顔」
仕返しの意も込めて、ちょっと反応を試すように言ってみたけど。
「な、何言ってるんですか! 変態!」
「……言葉選べ」
「てか違いますから! そんな顔じゃないです」
「じゃあ何だよ」
「……正解は、私の方が好きですよーって、顔でした!」
完全にカウンターくらった。
(こいつは……! 何でいちいちこんな可愛いんだ)
「殺す気か……勘弁してくれ」
「はい?」
「その気もねーのに煽るなよ。帰ったらすぐヤりたくなる」
膨れ上がる欲情を抑えて囁くと「……しないんですか?」と、あっけらかんと返される。
「さっきまでヤらせるどころか泊まらせる気もなかったろ」
「だってそれは……美女たちにヤキモチ妬いてたのと、高瀬さんが悠介のこと疑ったりするから」
「だから悪かったって」
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