恋のはじまり

4/41
前へ
/337ページ
次へ
「い、いいえ、す、すみませ……」 「吉川は、どうした? 休みか?」 熱くなってた身体が途端に、さっと冷えてく。 ううん、私の態度が悪かったんだから当たり前だけど、でも。 会話の流れをぶった切られて、聞かれたのは吉川さんのこと。 ズキッとわかりやすく胸が痛む。 ああ!もう嫌だ、嫌だ! 吉川さんのこと羨んだり、そんなバカみたいなことしないで強くなろうって、頑張ろうって決めたのに。 (……でも、さすがに仕事以外のことは) まだまだ吹っ切れそうにもない、かもしれない。 「はい、風邪を引いたってメールきてました。 私のミスで先週無理させたからって返したらソッコーで電話きて怒られました、朝」 「はは、なんだそりゃあいつらしいな」 ズキっと、また痛む。 いやだから、こんなに頻繁に細かく反応しなくてもいいんだってば。 と、いくら恨み節を奏でたところでどうしようもない。 『あいつらしいな』と、笑った顔の何と優しいこと。
/337ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7696人が本棚に入れています
本棚に追加