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小走りでエレベーターに向かう私の心は、どんより曇ってスッキリしない。
もっと嫌味言ってくれたら。
もっと怒ってくれたら。
良かったのに。
こんな時に優しくされると、こんな時に先輩の顔見せられると。
自分の無力さが悔しくて悔しくてどうしようもなくなる。
そうだ。
偉そうに喧嘩ばっかりしてるけど、結局はこうして助けられてる事の方が多いのに。
憎まれ口を叩く私の事を見捨てたりしない。
……モテて当然なんだろう。
でも、あの人の隣は自信を根こそぎ持って行かれそうになるから。
虚勢ばかりの私は、本当に強く、本当に輝く。
そんな人と比較されるのが怖いから吠えてるだけ。
乗り込んだエレベーターは私1人だけで。
じめっとした空気に滅入りそうになる。
夏は夏らしく、もっとカラッと晴れていたいのに。
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