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「ごめんね、遅くなった!」
駅前の百貨店入り口に立つ悠介に手を振った。
「大丈夫だよ、急がせてごめん」
ふにゃっと笑う悠介は、大学の頃よりも髪が短くなって大人っぽくなった。
高瀬さんほどじゃないのかもしれないけど、背だって高くて、鼻筋も通って。
童顔だけど可愛い顔してると思う。
……って、ここで高瀬さんと比較してんのもおかしな話だけど。
悠介の会社とは一駅しか離れてないから、週末にはこうして待ち合わせて一緒に帰る。
「美波の好きなパスタの店あるでしょ、あそこ予約しといた」
「え! どうしたの、珍しい!」
「……うん、今日くらいは」
見せた笑顔が弱々しい。
疲れてる?
つまらない?
怒ってる?
眠い?
わからない、でも、いつもと違うことが多すぎる。
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