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「……なぜです? 彼らは支配する側の人たちを倒すのが、彼らから解放するのが目的だろうと、先輩を言いましたよね?
それであれば、それでいいのでしょう? 先輩は、彼らの手助けをするために動くというわけじゃないんですか?」
「確信に至っていないというのが、現状ですけどね。なにより、彼らがどうやって解放に導くのか、その方法も分かっていませんし」
そう言いながら田村は圭に軽く指を向ける。
「だからこそ、君には引き続き彼との接触を続けていただきたいと思います。といっても、君にとっても、彼に近づくのにたいしたデメリットはないはず。
次郎くんのことを考えれば、そのまま彼の手伝いをするという選択肢しかないと思いますしね」
まったくもってその通りだ。今の圭の設定上、これを降りるという選択肢はない。降りたらそこで、本当はコントラクトと関係ありました、ってことになりかねない。
「じゃあ、このまま彼の手伝いをしていけばいいんですね?」
「ええ。お願いします。きっと君にとっても有益な話になっていると思いますよ。ご武運を祈っています」
そう言って、田村は最後に不敵な笑みをかますことを忘れなかった。
その日の帰宅後、自宅の部屋にてスマホからLIONを通じて通話が入ってきていた。当然のように相手は田村。
思わず溜息をついてしまう。
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