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「……本当に忙しいことで。お互いに」
圭は解放者ボブである自分に頭を切り替え、通話ボタンを押した。
『やぁ、こんにちは。本物の解放者さん』
「ご丁寧にどうも。で、なんのようだ?」
しっかり、さっきまでの圭とは違う雰囲気を出しながら言葉を出す。
『いやぁ、あれから、どうなったのかな、と思いまして』
「まだ、たいした情報は得てない。名前とかそんな程度だ」
『そうですか。では、そんな君にわたしからご報告があります』
一度椅子に座り直し、スマホを耳に当てなおす。
「報告?」
『はい。実は、わたしの友人にスマホを持っていない、すなわちコントラクトと完全に無関係な人がいるんです。そんな彼に対して、偽物との接触のお願いをしました』
……思いっきり圭のことである。
「都合のいい友人がいるもんだ。まだガラケー持っている奴いるのか?」
『あれ? スマホを持っていないとは言いましたけど、ガラケーを持ってるとは一言も言っていませんけど? そもそも携帯機器を持っていないというのも可能性として上がりませんか?』
……マジクソ。ちょっとイラっとした。
「……で、なにか情報は得られたのか?」
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