第1章 もうひとりの解放者

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 そう、ここは圭の家。しかも、ばっちり圭の部屋である。ちなみに、スマホにもケータイにもそんな連絡は来ていない。 「えぇ? 大丈夫、おばさんにはちゃんと挨拶してるよ!」 「そういうことじゃねえ! あと、そのグッドサインやめなさい」  圭は念のためスマホの電源を落としポケットにしまった。 「一応さ、俺たち高校生だろ? あんまり男子の部屋へ勝手にあがるもんじゃ」 「お客さん、来てるけど……お水もでないの?」  やったね、圭は軽く怒りを覚えた。  で、下にいた母からジュースをもらって、部屋に上がっていった。 「てめえ、しれっと嘘ついてんじゃねえよ」 「え、なに?」 「母さん、お前が来てること、知らなかったぞ?」 「あれ? バレた?」 「バレたじゃねえ!?」  やったね、圭が覚えた軽い怒りが強い怒りに進化した。  チョコンと圭の部屋に居座り、ジュースを飲む亜壽香。なんというか……もうすごい。正直言って、圭ならもう、亜壽香の部屋にはもちろん、家にも入る勇気はなくなりかけてるんだがな……。  なんというか、幼馴染といえど、男女ってのがな……どうも……。 「お前、俺んち来るの、抵抗ないのか?」 「抵抗? なんで?」 「いや……なんで……って」  そうはっきり質問し返されると何とも言い返せない。 「なんか、用事が?」 「ないよ」     
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