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最終羽 いま、舞い上がる
翌日の放課後、僕は不良たちと対峙していた。不良たちはいつものように嫌らしく笑っていたが、僕は覚悟を決めてここに来た。ちゃんと決着をつけるために。
鞄から用意してきた紙飛行機を取り出す。海子さん、アイデア使わせてもらいます。そして、それを不良たちの方に素早く飛ばす。一人が気づき、紙飛行機を拾ってみせた。
「なんだよ、これ」
「中になんか書いてあるみたいだぜ」
不良たちは紙飛行機を解体し出した。中には誓約書が書いてある。今後一切暴力や人のものを隠したりしないことを誓います、と書かれたものだ。
「誓約書ぉ?」
不良の一人が睨んできた。恐怖を感じながらも自分を奮い立たせて全身に力を入れる。
「それ……書いてください」
精一杯に声を張り上げながらも、みっともなく震えて上擦っている。だが、不良たちは何も言わずにこちらにずんずんと近づいてくる。見下ろす距離まで来たとき、一人がドスのきいた声で言った。
「こんなもの書くわけねぇだろ」
紙飛行機は無残にも紙吹雪に変わってしまった。ちらちらと舞う欠片たちを見つめながらもう心が折れかけていた。
その時、海子さんの顔が浮かんだ。部長や他の部員たちの顔も、次々と浮かんでくる。僕に楽しみをくれて、居場所をくれた人たちとまた笑い合いたい。あの感動をもう一度。諦める訳にはいかない。
変わらないことの方がずっと楽だと思ってた。けど、変わらなくちゃ!
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