第4羽 告白は突然に

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第4羽 告白は突然に

 それから一週間、紙ヒコーキ部には顔を出さなかった。ずっと一人で空気であるかのように行動した。もちろん拷問は続いた。痛みと孤独。それだけが体の中に充満していた。  紙飛行機を飛ばした時のことをもう一度脳裏に思い描いてみる。飛ばしてみようか。ノートを一ページ破り、紙飛行機を折る。部長の紙飛行機を思い出した。そういえばまだ部長に謝ってないな。でも、関わらない方がいいから。そうする内にあっという間に紙飛行機が折れた。教わったとおりに、まっすぐ、強く、押し出すように。飛ばした。紙飛行機はゆらゆらと揺れてすぐ手前に落ちた。なんか、変だ。想像したように飛ばない。紙飛行機までも僕を失望させるのか。そういうつもりではなかったが、その場に座りこんでしまった。そのまま体育座りになり、腕に顔を埋める。まだ体が湿っている気がした。 「小野君」  聞き覚えのある声が耳に入ってきて、顔を上げる。目の前にピンクの紙飛行機を持った海子さんが立っていた。呆然と見上げていると、海子さんは僕の隣に座った。  続く沈黙。合わない視線。どうしたらいいかわからず、手前に落ちた即席の紙飛行機をじっと見ていた。風が吹き、少し機体が揺れる。その瞬間、海子さんがぽつりとつぶやいた。 「小野君のこと好きみたい」  その言葉はあまりにも唐突で、意味を理解するのに数分を要した。再構築されたそれは、すとんと僕の脳に落ちる。  おのくんのこと、好きみたい? 「へっ!?」  動揺して、思わずその場から飛び退く。声が裏返ってしまったが、そんなこと気にしていられなかった。身体という身体の温度が上がり、鼓動が耳に響く。こ、これは告白か?
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