5#ヒグマ対九尾狐

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 その時、九尾狐はヒグマの顔を見て目を疑った。  「クマの目が・・・閉じてる?!」「こいつ・・・歩きながら眠ってる?」  そう、このヒグマは『夢遊病』だったのだ。  身体は冬眠してても、気持ちは歩き回っていたヒグマだったのだ。  「セリカちゃーん!!キタキツネのセリカちゃーん!!隠れてないでおいでーー!!」  「げぇっ!!」  九尾狐の物陰に隠れていたキタキツネは、ヒグマの掛け声にギョッとしてブルブル震えた。  「クマさん、キタキツネさんが怯えてるんだから脅すのは止めた方が・・・」「そうだそうだぁ。」  九尾狐は『夢遊病』のヒグマに忠告した。  「ヒグマのパァンさん!!すいません!!貴方の巣穴の前にいっぱいあったゴム風船・・・思わず・・・」  キタキツネは、脇の懐を探って萎んだ風船をヒグマに差し出した。  「この風船・・・?」「まさか・・・」
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