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「どうだい!!ヒグマさん!!僕がくすねたこのゴム風船。元通りに僕が息を入れて膨らませて返すよ。」
風船を口で膨らませたキタキツネは、ぜぇ・・・ぜぇ・・・と荒い息をしながら窶れた形相でヒグマにその風船を渡した。
「キタキツネさん、風船膨らませられるの?!」「凄いなあ!!頬っぺためいいっぱい孕んで、まるでタヌキみたいになってたけど?!」
「?!」
「な、」「なんでもないっす。」
「いいよ。キタキツネのセリカさん。この風船あげるよ。」
「い、いいの?」
「いいよ。このゴム風船が、俺とお前を引き合わせたんだから。」
「そして、おいら達と君」「キタキツネを引き合わせた風船!!」
どろん!!
「わっ!」「やべぇ!!」
その時九尾狐の妖術が解け、元の右コンと左コンの妖狐兄妹に戻った。
「キタキツネのセリカさん。この白いキツネさん達と知り合いだったの?!
凄いねぇ。九尾狐に化けられるキツネさん達と知り合いだとは!!」
ヒグマは、キタキツネに聞いた。
「ん・・・まあ。」
「友達でしょ!!」「もう、おいら達は君、キタキツネさんと友達だよ。」
右コンと左コンは、困惑するキタキツネと巣穴の前の雪原で戯れて遊んだ。
「おいら、いい夢見たよーーー。またひと眠り・・・おやすみ・・・」
ヒグマは、九尾狐の絵の萎んだ風船の束を抱きながら、冬籠りの続きをする為に巣穴の奥に戻っていった。
「ぎゃん!ぎゃん!」
「こんこん!」「こんこん!」
尻尾に紐で、九尾狐の絵の風船を結んだキタキツネ。
そして2匹の妖狐は、北の大地で心行くまで遊びまわった。
「キタキツネさーん!」「君!化けられる?」
「できるわけないかーい!!」
~妖狐がキタキツネに逢いに旅に行った話。~
~fin~
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