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でも、あれからゴム同士が絡み付いて『妖術』が持ってるように感じてる可能性あるし?」
「だ・か・ら、右コンと私と憑依合体して九尾狐になれば、吐き出す吐息はヘリウムガスみたいに軽くなるでしょ?」
「解った!!やってみよう!!早速、九尾狐になって、このでっかい風船を膨らませて・・・!!」
兄妹が憑依合体した九尾狐は、身体にパンパンに膨らませた巨大風船を結んだロープを括ると、
「さあ、キタキツネの待つ北の国へしゅっぱーつ!!」
と、空の向こうへ飛んでいった。
ふうわり・・・
ふうわり・・・
「大丈夫かなあ?飛行機に巻き込まれたり、カラスとか鳥に突っつかれて風船が割れて墜落しないかなあ?
大丈夫だよ。『妖術』でステルスしてんだから。空を見上げている人間に見つかって、大騒ぎにならないようにもね。」
ふうわり・・・
ふうわり・・・
「わーーーーい!!私達北の国に飛んできたーーーー!!
どうだ!!俺の力だ。
いや、私よ!!
いや、俺だ!!
私よ!!
俺だ!!」
どろん・・・!!
「えっ?!九尾狐が解けた?」
「ひぇっ!!『妖術』が解けた?!」
「うわーっ!!」
「ぎゃーん!!」
九尾狐状態から、妖狐に戻ってしまった右コンと左コンは慌てて巨大な風船の紐にしがみついた。
「危うく墜落するとこだった!!」
「私達、何処まで飛ばされるの?下が真っ白で解らないよぉーー!!」
一難去ってまた一難。
かうーーーーー。
そこに1羽のタンチョウが、2匹の妖狐が掴まっている巨大風船に向かって飛んできた。
「なんだこれ?風船?邪魔!割っちゃおう。」
嘴でつんっ。
ばぁーーーーーーーーん!!
「わぁーーーー!!」
「きゃぁーーー!!」
巨大風船を、通りすがりのタンチョウのリサに割られた妖狐は、まっ逆さまに墜落していった。
ぐさっ!!
どさっ!!
雪山に刺さった2匹は顔を出すと、見渡す限りのホワイトアウトに目を疑った。
「ここは・・・」
「どこ・・・」
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