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人付き合いの苦手な俺にもようやく友達ができたが、スクールカーストでは未だ底辺だった。
だが、あの日の天王洲がまだ心のどこかで支えとなっていた。
同時に、報われぬ不毛な片想いも継続中で⋯⋯。
何度も、夢の中では告白が上手くいっていて、付き合っている設定なのに。
現実世界では、友達とも呼べない距離が歯痒かった。
高校1年生の1月。
クラスメイトたちの殆どは、若干1年生にしてインターハイ出場を決めた天王洲の応援に、現地へと足を運んでいた。
しかし、スクールカースト底辺の俺は一緒に応援に出掛ける友達はおらず、無駄な強がりから家のテレビでこっそりとアイツを応援していた。
勿論、誰にも応援していることは言えない。
だから、それは何か秘密の儀式のようだった。
テレビの中で活躍するアイツは、光輝いていて、やはり俺にはとても眩しくて誇らしい存在だった。
好きだ……
そんな気持ちがどんどん湧き上がってきたが、その言葉を吐き出すことは天王洲の環境を想うととてもじゃないができず、甘酸っぱい想いだけが募っていった。
下手したら、ストーカーだ。
そう自嘲しながら、いつも教室の中心にいる天王洲を興味無いふりして盗み見ていた。
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