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「清瀬、どこまで行くんだよ?」
不意に背後から掛けられた声で、ハッと我へと帰る。
気が付けば、俺たち2人は屋上にいた。
「ゴメン……。でも、言わなきゃ後悔すると思って」
「え?」
状況が飲み込めていない天王洲は、「意味不明」と言わんばかりの表情をする。
何の部活動もしていなかった俺は、既に息が上がり肩で呼吸をする。
サッカー部の天王洲は、当然何ともない。
ようやく呼吸が整ってきたところで、深呼吸を1回する。
「あのさ……」
高鳴る鼓動に、心の中で「落ち着け自分……」と言い聞かせながら話し出す。
目の前の男は、きょとんとした顔で俺を見つめている。
「俺、天王洲のコト……天王洲のコトが“好き”なんだ!」
相手の反応を見ず、そのまま勢いで更に捲し立てようとする。
「こんなこと、天王洲は気持ち悪いと思うかもしれない。だけど、俺はずっと一方的に“好き”だったんだ!!
本当は、インターハイの試合だってテレビでちゃんと毎回応援していたし、彼女ができれば嫉妬だってしてた。本当は、この気持ちだって迷惑だと思ったからずっと言葉にしないつもりだった……。
だけど……それじゃ、一生後悔すると思って……」
今まで、いくらでもチャンスはあったのに「天王洲の汚点になるから」等言い訳をしていたが、本当は自分が傷付くのが嫌だったのだ。
自分保身で、何も動かなかった情けない自分に今更ながら苛立ちを感じた。
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